またまたTVネタでごめんなさい。。
この番組はなかなかの優れもので、今年また続編をやるそうですが、好きなソングライターの時はかなり楽しみに観させてもらいました。その番組とは、
『佐野元春のザ・ソングライターズ』。夕べやってたのは矢野顕子。再放送。(^^)
矢野顕子。。
この方のすごさは、この『ザ・ソングライターズ』を観たらどなたも納得すると思います。(もう再放送も終わっちゃったんで、再々放送を望むしかないですが、、、)やってのけたのは、番組の参加者で観覧者である会場の大学生達が書いた詩に、矢野が即興で音を付けていくというもの。そして、その曲の質がすごい。佐野元春は目の前でそれをすすすっとやってのけてる矢野を見て、驚きの声をあげていた。『信じられない!』って。(笑)
なんてことのない日常の家族の詩。それを普通に聞いていても、ちょっといいな、と思うだけでさほど深い感動はない。けれど、矢野が音を付けた途端、詩がものの見事に立ち上がり、詩の一言一言がすすーっと心に入ってくる。そして、その言葉が持つ意味がじっくりわかって、そして感動させられる。。ある学生が形容していたのが、詩だけの時は平面で、音がついたら3Dの立体になって立ち上がってきた、と。この形容はわかりやすいと思う。でも、私はもっと先を言わせてもらうと、立体になった言葉のひとつひとつが、流れ星が落ちてくるように心の中にぴかーっと入ってくるような、そんな気もしました。まったく、矢野顕子はすごすぎる。。
その即興の後、学生から質問を受けていたのがまた彼女らしくてよかった。
Q1.学生になってから“女だから・・・”とやらせてもらえなかったり、やたらと不平等な場面が多くなった。矢野さんは社会で不平等だと思うことはあるか?
A1. 社会は不平等にできている。これは絶対に無くならない。ならば、こちらが考え方を変えて自分が変わればいい。女性として誇りを持って一生懸命生きていれば、誰かしら見ていてくれる人が出てくる。がんばって。(^^)
Q2. 自分が作った曲を他の人が自分の思うような意図とは違う意図で受け止めているとしたら、その曲は矢野さんにとって失敗だと思うか?
A2. それは、大成功だと思う! その曲に違う人の感じ方や想像が加わったら、その曲は喜ぶと思う。曲って本来そういうものではないか? 1つの曲の受け止め方は千差万別で、一人一人違うと思う。そこでいろんなものが加わってもっとすごいものができたら、すばらしいことだと思う。
[これに関しては、奥田民生がカヴァーした彼女の“ラーメン食べたい”を例に出していた。奥田がギターでじゃーんとやった時、彼女が食べたいラーメンとは違うラーメンなんだけど、とてもおいしそうなラーメンが彼女の中で出来上がり、とてもよかった、と。]
(*放送内容を思い出して書いているので、上記の言葉は一言一言コピーしているわけではありません。ちょっと違っているところもあるかもですが、ニュアンスはこんな感じだったということでご容赦を。)
Q2.の矢野さんの答え、上橋菜穂子さんの考え方と似ていると思った。言い換えると、彼女達が作ったオリジナルには、いろんな人がいろんなものを加えてどんどん二次創作してもいいですよ!というものだと思った。こんなこと言うの、矢野顕子と上橋菜穂子さんしかいないな、と。上橋さんは、それは“作品が持つ力”だと言っていた。力がある作品には、それを受け止めた人がどんどん想像を膨らませていく余地があり、他の作品として発展していくものだ、と。上橋さんは、そのことが嬉しいと思っているらしい。だから、自身の“精霊の守り人”も“獣の奏者”もアニメや漫画、ラジオドラマになったり、実写映画の話もあり、それらの監督達がやっていることを嫌がったり否定することはない。太っ腹というより、自分の作品にはそれほどの“力”があると自信があるからだろう。
矢野顕子も上橋菜穂子さんも、どちらもすばらしい御仁です。