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評価:
上橋 菜穂子
講談社
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これ、484ページあるんですよ。しかも、相変わらず挿絵もありません。。
でも思ったとおり、一気でした。(笑)
今回、上橋さんは<探求編>と<完結編>を同時に出されたので、<探求編>でのあとがきがなくてちょっと寂しかったけど、大河の大きな流れのように、一気に終結に向かって大きくうねっていく手法に上橋さんらしさを感じましたので、いいか、と。(^^)
この巻では、エリンがイアルと結婚した後の話が綴られています。
つまり、真王と大公が結婚したその後の話なんだけど、国の混乱が一向に収まらない。
エリンも唯一の王獣使いということで、彼女の王獣を操る姿は多くの人に知られることとなる。思いもよらない遠くの国や自国の為政者からもその技を欲しいと狙われる。。危険な人物・・・。今や家族も作ってしまったエリンがこの先どう生き抜くのか、その物語となります。
それにしても。。
この夫婦の愛情があまりにも深いので、そののしかかった運命と子どものことを考えるとき、切なすぎて胸が締め付けられる。。こんなに深い愛情で結ばれている夫婦って、今どのくらいいるんだろう?この前TVで夫婦に関する調査があって、その中で“あなたは相手のために死ねますか?”という質問に、確か3/4以上の人が“いいえ”と答えていたと思う。その時、『今の夫婦関係ってそんな軽いものなのか』と思った。でも、エリンとイアルは違う。
この夫婦のことをうまく表現している箇所がある。
エリンの師であるエセルから見た夫婦像だ。
<第4章-4 “硬い胡桃”より>
『・・・夫となったこの男も、どこかエリンと似ている。根が一人なのだ。他者に頼らず、他者を巻き込まずに生きようとする・・・。
たぶん、二人になっても、その気質は変わっていないのだろう。互いを愛し、二人で硬い胡桃の殻のようになって、中の息子を守りながら生きていく・・・。』
この巻の終盤になって、この二人のことをじっくり書いてある箇所が何箇所かあるけれど、ある意味羨ましい一方、どうしてこうなるとわかっていながら一緒になったのか、とも思った。なんで子どもまで設けちゃったのか、とも。。やっぱり“根が一人”だからか・・・。
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この巻の中でも、はらはらどきどきがあります。。
今回は、イアルがエリンを助けにものすごい濁流の中に身を投じる場面があるんですが、あれが守り人シリーズのバルサだったら、確かにはらはらはしますが、バルサは常に鍛錬しているし経験もあるのできっと大丈夫だろうという安心感があるんです。でもイアルの場合、セ・ザン(真王を守る護衛士)という武人だったのは10年前のこと。10年間武人としての鍛錬もさほどしてなかっただろうから、大丈夫かなぁととても心もとなかった。しかも上橋さん流の緻密な場面描写がリアルなので。。
結果、確かに二人とも助かるんですが、後でわかることは、この時イアルは39歳。意外と歳になってからエリンと結婚してる。。
この事件以降、エリンはあることを決意し、もちろんイアルも同意して、新しい道に行こうとするところでこの巻終了。
いやぁ〜〜、<完結編>どうなってるんだろう?
早く読みたい!
わ、これ読んだの中一ですか。
ふーむ。
この物語がその後のエリンさんにとって素敵なものになっていればいいなぁと思います。(^^)