はい、観て参りました。
時代背景、美術セット、小道具その他諸々、とても丁寧に作られた映画だと思いました。
出てくる反物の柄とか、豆腐売りが持ってる豆腐は1つ1つが藁で縛って売ってるとか。(昔は豆腐は藁で縛れるほど固かったんだろうな、と。。)あと、いつもはちょっと気になる仲間由紀恵嬢の演技が、奥方としての1歩引いた感じの演技になっててよかったのと、おばあさま役の松坂慶子が、借金返済のために供出しなけりゃならなかった一番お気に入りの反物を手放したくなくて「いやじゃ、いやじゃ。」とダダを捏ねるところ、よかった。あれはかわいらしいというか、昔の何も知らない武家の奥方はそうだったのか、とちょっとあきれてしまったけど。。(笑) 松坂慶子さんのこんな演技、なかなか観れないからね。
それにしても、武家って面倒くさかったのねーーと、思った。親戚や隣近所、上司への対面を気にし、面子のために生きていたと言っても過言でない彼等の生活。ま、徳川の時代は戦争がなかったんだから、本来の武士の役目がなくてそうなっちゃったのは仕方ないにしろ、ですけどね。そのためにかさむ借金。武家が借金地獄に陥っていたのはよくあったことだったらしい。でも、代々算用が“お家芸”の家に生まれ、しかも実直に生きる主人公にとって、台所が火の車というのが何よりも我慢できないことだったみたいで、一大決心して大借金を減らすべく、何十年も家族総出で戦った。すごいですよ。その信念たるや。自分の好きな高い反物や骨董等手放さなきゃいけなかったし、お弁当も昔は何品もあったおかずが麦飯のおむすびと蒸し芋とお漬物だけになり、夕餉のおかずも1匹のタラでいろんな料理を作ったりして工夫をしていた。仲間さん演じるお駒は「貧乏と思えば気が滅入るけど、工夫と捉えれば楽しい。」と言ってる。そう、ご飯はおいしければいいもんね、安く上がっても。(^^)
もう一つスポットが当たってたのは、息子の直吉の話。算用者として父親から小さい頃から仕込まれて、なぜこんなに厳しくそろばんを仕込まれなきゃならないんだ、と大人になるまでずっと反発していた。でも、やがてそれが役に立つこととなり、父親の気持ちもわかるようになる、というくだりもあります。
泣けてくるほどではないけど、静かに感動するお話です。
本当にあったことだし。
侍が一斉にそろばんに向かって計算してる光景は圧巻でした。
<武士の家計簿>