この作品は原作を読み、ドラマ版も観ています。
どちらも大好きです。
東野圭吾氏の作品の中では多分最高峰ではないか、と。
(かと言って、他の作品は『手紙』以外あまり読んだことがないんですが、、、でも、映像化されている作品群をちらっと観てみても、他の作品そんなにおもしろくないし・・・。(・・;))
原作がなぜおもしろいかと言うと、亮司と雪穂という主人公達が様々な事件のエピソードの中にほとんど出てこない。ただ、こういう事件があった、ああいう事件があった、と淡々と語られているだけ。ちらっちらっと双方の姿が垣間見えてはくるけれど。原作あとがきによると、この作品は氏の雑誌の短編を集めてできているらしい。そこから作品の流れを作り、今の社会に存在するであろう暗く深い闇をえぐり出してる。それにしても、寄せ集めの短編をあの複雑な1つの物語にしているその才能たるや、東野圭吾のもの凄さがわかります。
今日観た映画版はですね、、、
う〜ん、掘北真希ちゃん、華がない・・・。
雪穂は妖艶な絶世の美女で、凍りつくような目を演技できる人でないと・・・。
亮司役の高良健吾くんはぴったりだと思いましたけど。
でもね。
脚本、ちょーーーっと無理があったかも。
私が重要なエピソードの1つだと思った事件をすっ飛ばしてたもんね。
え、そこでそれをぶち切って、あそこにくっつけるか!?とびっくり仰天でございましたよ。
しかも、亮司がどうやって雪穂を金銭的にサポートしていたか、その源泉となる活動のこともすっ飛ばしてましたし。。(原作は、このことによって亮司の人物像を描いていたんだと思う。)
そして、雪穂がファッション業界でものすごい勢いで成り上がっていくんだけど、その様子も描かれていない。(このことはやはり大事だと思う。雪穂の人物像を描くには。)
つまり、2人の人物像が丁寧に描かれてなかったってことでしょうか。
となると、どうしても作品が薄っぺらなものにしかならないと思う。
大事なのは、2人がどうやって生きていたか、なんだから。
ま、原作は800ページ以上もある長い物語なのでどっかで何かを切らないといけないってことはあったかもですが、、、でも、あのエピソードをすっ飛ばさなくても、と思ったんですよねーー。だって、原作の中で唯一亮司の起こした事件に雪穂が甲斐甲斐しく動いて事件を闇に葬り去ったのがそれとなく見えるエピソードで、雪穂と亮司の双方が双方に対する存在感が感じられるものだったから。
それからそれから映画の最後のところ、笹垣と亮司が対峙するけど、その解釈はドラマのそれと同じだなと思いました。別の解釈があってもよかったのに。雪穂の一番最後の行動の描き方も、私は支持しません。原作にはその場面は描かれていないけど、雪穂の何十年にも亘る唯一無二の支援者であり相棒があんなことになって、さすがの雪穂でさえも動揺しないわけがない。原作もそんな雰囲気を匂わせていた。
ま、ともあれ、映画の最終場面には大泣きしてました。(・・;)
やっぱり、亮司と雪穂の救われない人生は心をえぐるし、あんな2人を作り上げた社会の暗く深い闇を心から憎む。これは映画と言うより、原作の持つ力のせいだと思うけど。。
この映画、出来は期待してなかったんですが、まぁまぁかな、と。(笑)
原作を超えることができる映像は、今後もできないでしょうね。。
<映画『白夜行』>
PS. ちなみに、ものすごくちなみになんですけど。雪穂の嫁ぎ先の義父と会社の会長がウルトラマンタロウとウルトラマンだったんで、おおっ〜〜!!と思ったのは私だけでしょうか。。(笑)