今話題の向井くんなんかが出てる大学生のボランティアの話、という情報しか持ってなかったので割と軽い感じの映画なのかな?と思ってたらそうでもなく、よかったです。なんか、作品自体が真剣だな、と感じまして。(ま、どんな映画も真剣に作られているとは思いますが。。)
監督はあの深作欣二監督の長男である深作健太さん。
映画の導入部は普通の映画なんだけど、場面がカンボジアに移った時からほとんどドキュメンタリーな感じで撮っており、俳優さん達のリアクションがとてもリアルで、興味深かった。ポル・ポトの大虐殺。自国民の4人に一人を殺していったナチスもびっくりのその大量虐殺は、未だに幹部の一人が禁固刑になっただけで(当のポル・ポトなんかこの世の人じゃなくなってるし)かなりの部分うやむやになってる。知って欲しいという思いからか、映画の中できちんとその凄惨な事実を紹介していたり、その体験を現実にした人がガイド役になって体験談をリアルに話す場面もある。あんなにきれいな場所なのに。
それにしても、窪田正孝くんはいい。ものすごくいい。映画の中で、カンボジアで出会ったある人が亡くなってしまうんだけど、それを体現した時のあの表情がなんとも悲しくて悲しくて…。泣きながらブルーハーツの"青空”を歌う場面の、あの狂おしい表情に魅せられたというか、参ってしまった。女優で声優の安藤麻吹さんが自身のブログで彼のことを『俳優のにおいがした』というようなことを書いてたことがあって。まだその時窪田くんは10代だったんだけど、そんな若いのにちゃんと俳優なんだと思ったことが印象として残ってて、ま、それがきっかけとなって私は彼の隠れ追っかけをしてるんですけど。(笑) そうそう、三池崇史監督も窪田くんのことを気に入ってるみたいで、彼の感性がただ者じゃない、みたいなことを言ってましたね。そう。窪田くんは、私の中でかなり注目度大の俳優さんなんです。実はこの映画も向井くんより窪田くん観たさでわざわざ出かけた、というのが本当なんですけど。(・・;)
ブルーハーツはいいよね。詞がいい。"青空”はギターの真島昌利(マーシー)作詞作曲だけど、この人は天才で、ただ切ない詞なだけじゃなくて心にぐっと突き刺さるような言葉を編むのがうまい。
"ブラウン管の向こう側
カッコつけた騎兵隊が
インディアンを撃ち殺した
ピカピカに光った銃で
出来れば僕の憂鬱を
撃ち倒してくれればよかったのに
…
生まれた所や皮膚や目の色で
いったいこの僕の何がわかるというのだろう
運転手さんそのバスに僕も乗っけてくれないか
行き先ならどこでもいい
こんなはずじゃなかっただろ?
歴史が僕を問いつめる
まぶしいほど青い空の真下で”
(THE BLUE HEARTS "青空”より)
なかなかよかったです。
甘ちゃんな映画じゃなかったのが。
<僕たちは世界を変えることができない。>