去年の秋ごろからこの番組を知って、それ以来家族中で大好きな番組になってます。(今は年末年始のお休み中です。)
火野正平さんと番組スタッフの方々が、視聴者からいただいたお手紙にある心の風景を自転車で旅する、という番組。訪ねる場所はお手紙の方の個人的な思い出の場所なので、ほとんどが名も知らない観光地でもない場所。高台だったり田んぼや畑の真ん中だったり、山の中だったり…。でも、お手紙の方の想いと相まって、どの風景も本当にすばらしく、行ったことがない私までもが毎回感動してしまう不思議な番組です。
この番組が普通の旅番組とちょっと違うのは、BGMが少なくその場所にある音を消さずにそのまま番組の中に入れてあること。テロップも滅多に出ません。その場面のイメージに合ったとても素敵な曲はかかるけれど、それは本当にそのイメージにぴったりな場面だけで音量は控えめ。あとはひたすら流れる風景と火野さんの自転車に乗った後ろ姿と、たまに寄るご飯どころやカフェの場面、Bカメラさんから撮った火野さん一行の自転車走行風景と、それだけ。シンプルこの上なし。しかも映像から聞こえてくるのは、正平さん達の自転車が風を切って走るタイヤの音、横を車が走って行く音、鳥の声、その辺の番組に全く出てこない関係ないおばちゃん達のおしゃべりの声まで、そのまんまの音しかない。画面を見てるだけで、まるで自分達も一緒に自転車で走っているように感じます。すごく気持ちいい。
最近この番組は密かに全国で流行っているらしく、行く先々で正平さんのことを『いつも観てますよ!』『正平さん、大好き!』とそばに寄ってくる方々も多数。おばちゃんだけじゃない。本当に老若男女、どの世代も男女問わず、なんと赤ちゃんまで正平さんのことを支持しているのがわかる。あそこまで人に愛されてる人ってそうはいないんじゃないかしら。
人柄がいいんですよ。さすがに昔いろんな噂が立ってた人だけあって、若い女の子は好きなんだろうなーという場面も多々見受けられますが(笑)、それだけじゃない。おごらず、シャイで、でもお手紙の方に対する真摯な態度と暖かい心がとてもよく伝わってくる。橋の上など高所恐怖症なとこも番組的にかっこ悪いはずなのにそのまま泣きそうな顏も出してくれるし(笑)、お手紙の方の心の風景が山の上や急な坂の上とか、63歳の人が自転車で行くには辛い場所もちゃんと登って行ってくれる。はぁはぁ、ぜいぜい苦しそうに『もう止めてくれー』と言いつつ、でも休み休みに。観てる側はかわいそうでたまらなくなる時もしばしばなんですけど。。でも、そういうところも包み隠さず見せてくれる、番組の太っ腹なとこもいいなぁ、と思うわけです。
ものすごく印象的だった回を1つ。
北海道の5歳のお母さんだった方のお手紙。お母さんが5kmの道のりを走った際、5歳の男の子が自転車で一緒にペダルをくるくる回しながら走ってくれた。その子が数年前亡くなってしまった。その思い出の場所は自分はまだとても行けないけど、代わりに正平さん、走ってもらえますか、というものだった。正平さん達一行は、その場所に向かって走り始めるんだけど、途中正平さんがしたこと。ふいに野の花を探し始め、見つけたらそれを自分の相棒の自転車・チャリオの後ろに括りつけて走り出す。その男の子のために。もう、なんてすごい人なんだろう!とびっくりするやら心打たれて涙が出てくるわ。。番組の演出じゃなくて正平さんの考えでそのまま出されたものだな、というのがよく観て取れました。黙々とやってたし。男の子のお母さんが観てたら、絶対嬉しかったに違いないでしょう。忘れられません。
あと、この番組で忘れてならないのは、『火野正平はベテラン俳優である』というのがあると思います。あのしゃがれた低い魅力的な声も含めて視聴者の方のお手紙を読むあの場面はいつも感心させられます。お手紙の文面をちゃんと映してるんですが、きれいな文字の方もいるけれど、読みにくい方もいらっしゃいます。でも、どんな文面でもそのお手紙の方がその場で話しているようになめらかに心を込めて読んでる。あれはプロでないとできない芸当ですよ。正平さん、長年俳優やっててくれてありがとね、って心から思います。
今はちょっとお休みですけど、正平さん、十分養生してまた私達を楽しませてくださいな。
願い叶うなら、愛知にもチームこころ旅、来て欲しいなぁ。。